最近は少し難しい論文や専門用語の話が続いたので、今回は少し箸休めのお話です。
歯科治療で、「オエッ」となってしまった経験はありませんか?
医療用語では「嘔吐反射(おうとはんしゃ)」と呼ばれるこの反応。歯の型取りや、奥歯の治療中に起こりやすく、自覚している方も少なくありません。
そして実は、歯医者が苦手な人ほど、この嘔吐反射が起こりやすい傾向があります。緊張や不安が強いほど、身体が敏感に反応してしまうためです。
とはいえ、歯科治療において「型取り」はとても大切です。
最近では、「光学印象」と呼ばれる、小型カメラで歯や歯ぐきの形をスキャンする方法も増えてきました。しかし、訪問歯科では従来の「印象トレー」と「印象材」を使った方法が中心です。
また外来診療でも、光学印象は機材やモニターなどの導入費用が高額なため、現在でも従来の型取りを行っている医院は少なくありません。
では、どうすれば嘔吐反射を起こしにくくできるのでしょうか。
そのポイントになるのが、「呼吸」です。
まず、横になっている場合は、できるだけ身体を起こして座る姿勢をとります。
さらに、頭が後ろに倒れていると喉が刺激されやすくなるため、首の後ろを伸ばすように軽く顎を引きます。
トレーが口の中に入るときも、頭を後屈させないことが大切です。
そしてトレーがしっかり入ったら、静かに口を閉じます。そして、印象材が固まるまで、ゆっくり鼻で呼吸します。
取り外すときも同じです。頭をできるだけ後ろに倒さず、喉を刺激しないように外すことで、嘔吐反射はかなり起こりにくくなります。
実は、この流れの中には、術者側にもいくつかコツがあります。
先生によってさまざまな工夫があると思いますが、私が特に大切にしているのは「会話」です。
患者さんから、「私、型取りでオエッとなるんです」と言われたら、まずは、「大丈夫ですよ。コツがありますからね」とお伝えします。
そして、印象材は患者さんの目の前で練って、トレーに盛ります。口の中で流れてしまうと気持ち悪さにつながるため、少し硬めに練るようにしています。
ただし、硬めにすると固まるのも早くなるため、手早さが必要です。そのため、患者さんに負担をかけないよう、準備から印象までをスムーズに行うことも大切になります。
次に口の中にトレーを入れて閉じてもらう時には、「私の指を咬んでいいので、そのまま閉じてくださいね」とお伝えしています。
実際、口を開け続けるよりも、何かを軽く咬んでいる方が安定しやすく、患者さんの緊張も和らぎやすいのです。
閉じてもらった後は、「ゆっくり鼻で呼吸してくださいね」と声をかけながら、「上手に鼻で息ができていますよ」と、固まるまでの間も安心できるようにお伝えします。
そして、「もうすぐですからね。順調ですよ」と声をかけながら保持し、固まったら喉を刺激しないようにゆっくり外します。
外した後はすぐにうがいをしていただき、「患者さんのおかげで、きれいに型が取れました」と感謝をお伝えするようにしています。
ここで大切なのは、「何を言うか」だけではありません。
実は、歯科治療中の人は、視覚以上に“聴覚”から状況を判断しています。
つまり、術者の声のトーンや話し方そのものが、患者さんの安心感に大きく影響しているのです。
箸休めのつもりが、思った以上に長文になってしまいました。
「声」が身体に与える影響については、また次回のブログでお話ししたいと思います。
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