「よく咬んで食べなさい」と、子どもの頃に親や先生から言われた経験がある方は多いのではないでしょうか。何気ないこの言葉の中には、実はとても大切な意味が込められています。
咬むことは、単に食べ物を小さくして飲み込みやすくするためだけの行為ではありません。まず重要なのは、食べ物と唾液をしっかり混ぜることです。たとえば、パサパサした食べ物は唾液が不足すると飲み込みにくくなりますが、よく咬むことで唾液が分泌され、食べ物に水分が加わります。さらに唾液に含まれる「ムチン」という成分が食べ物をまとめ、なめらかにしてくれるため、スムーズに飲み込めるようになります。
また、唾液には消化を助ける働きもあります。でんぷんを分解する「アミラーゼ」や、抗菌作用をもつ「リゾチーム」などが含まれており、口の中ですでに消化の第一歩が始まっているのです。
加えて、食べ物の味を感じることができるのは唾液の溶解作用のおかげでもあります。唾液をしっかり出すためにも咬んで唾液腺を刺激することはとても有効なのです。
そして、咬むという動作は、単に顎の筋肉(咀嚼筋)だけで行われているわけではありません。食べ物を効率よく咬み続けるためには、頬や舌、唇といった周囲の筋肉が重要な役割を担っています。食べ物は咬まれると歯の外側へと流れていきますが、それを再び歯の上に戻し、もう一度咬み砕くために、これらの筋肉が無意識のうちに働いているのです。
さらに、咬んでいる最中にすぐ飲み込んでしまわないよう、舌の根元の筋肉が食べ物を喉へ流れないように調整しています。つまり、「しっかり咬む」という行為は、顎だけでなく口の中全体の筋肉を総合的に使い、鍛えている動きだと言えます。
加えて、咬むことは口の機能だけにとどまりません。脳にも大きな影響を与えることが分かっています。
この「咬むことと脳の関係」については、また次回のブログで詳しくお話ししていきます。
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